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Salesforceでページレイアウトを変更したのに、画面に反映されない――。多くの管理者が経験するこの現象は、実は不具合ではありません。「キャッシュ」という、パフォーマンス向上のための仕組みによるものです。
本記事では、この仕様の背景から、環境別の最適な対処法まで実践的に解説します。
なぜレイアウト変更はすぐに反映されないのか
キャッシュの仕組み
Salesforceの公式リリースノートには、次のように記載されています。
カスタムオブジェクトのレコードページのレイアウトを変更しても、変更はすぐには表示されません。ページの再読み込みから約15分後に反映されます。この変更により、ページの表示パフォーマンスが改善されます。
「キャッシュ」は、ページ構造やデータをブラウザに保存することで、サーバとの通信を削減し、読み込み速度を向上させる技術です。ユーザー体験の改善を目的とした設計ですが、開発・検証環境では逆にストレスの原因となります。
反映タイミングの詳細
- 管理者本人: 約15分後
- 他のユーザー: 最大1時間後
このタイムラグにより、チーム内で「自分の画面では変わっているのに、他の人には見えない」という状況が発生し、検証作業に混乱が生じます。
即時反映させる2つの実践的方法
方法1: ログアウト&再ログイン
手順: Salesforceからログアウトし、再度ログインする
ログアウトによってキャッシュがクリアされ、最新のレイアウト情報が取得されます。
メリット: 設定変更不要で即座に実行可能
デメリット:
- 多要素認証が有効な環境では手間がかかる
- チーム全員に依頼するのは非現実的
- 頻繁な変更検証には不向き
方法2: キャッシュの無効化(推奨)
設定手順:
- 設定(Setup)を開く
- クイック検索で「セッション設定」を検索
- 「パフォーマンスを向上させるためにブラウザの安全で永続的なキャッシュを有効にする」のチェックを外す
- 保存

この設定により、レイアウト変更が即座に反映されるようになり、ログアウトの必要がなくなります。特に開発・検証を頻繁に行う環境では、作業効率が劇的に向上します。
影響範囲の把握
この反映遅延が発生するのは、以下のコンポーネントです。
- カスタムオブジェクトのページレイアウトエディタ
- コンパクトレイアウト
- Lightningレコードページ(Lightningアプリケーションビルダーで作成)
注意: Lightningアプリケーションビルダー上での直接編集は、ページ再読み込みで即座に反映される場合もありますが、他ユーザーには依然として遅延が発生する可能性があります。
環境別の最適な設定戦略
Sandboxでは必ずキャッシュを無効化すべき理由
Sandbox環境は設定変更の検証と新機能確認を行う場所です。ここでは即時反映と確認スピードが最優先事項となります。
無効化すべき理由:
- 検証効率の向上: 変更のたびに15分待つストレスがなくなる
- チーム作業の円滑化: メンバー間での表示のズレを防ぐ
- 判断ミスの防止: 古い情報での誤判断を回避
Sandboxでは「安全で永続的なキャッシュを有効にする」のチェックを外し、即時反映モードで運用するのがベストプラクティスです。
本番環境ではキャッシュを有効に保つ
本番環境では、ユーザー体験の向上を優先し、キャッシュを有効にしておくことを推奨します。レイアウト変更は頻繁に行われないため、パフォーマンスのメリットが上回ります。
環境別設定の比較表
| 環境 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 本番環境 | キャッシュ有効 | ページ表示の高速化により、ユーザー体験が向上 |
| Sandbox | キャッシュ無効 | 設定変更が即時反映され、検証作業がスムーズ |
管理者が実践すべき3つのアクション
Salesforce管理者にとって、設定変更後の反映スピードは作業効率を大きく左右します。以下を習慣化することで、開発・運用の質が向上します。
- Sandboxでのキャッシュ無効化: 初期設定時に必ず実施
- 定期的なキャッシュクリア: ブラウザのキャッシュ削除を習慣化
- チームへの情報共有: この仕様をメンバー全員に周知
これらを実践するだけで、設定検証のストレスは劇的に減り、開発効率が格段に向上します。
まとめ: 環境に応じた最適化が成功の鍵
Salesforceのキャッシュは、パフォーマンス最適化のための優れた仕組みです。しかし、その効果を最大限に活かすには、環境に応じた適切な設定が不可欠です。
重要ポイント:
- レイアウト変更の遅延はキャッシュによる仕様
- ログアウトまたはキャッシュ無効化で即時反映が可能
- Sandboxではキャッシュを無効化が鉄則
- 本番環境ではキャッシュを有効化してパフォーマンス重視
この理解に基づいて環境別に設定を最適化することで、Salesforceの開発・運用は格段にスムーズになります。反映遅延に悩む時間をなくし、より生産的な検証体験を実現しましょう。
